一生懸命に働いても「なんとかなっていない」人たち。SEはもはや専門職ではない。

どうも、碧衣です。
最近、コンビニやスーパー、牛丼屋などに行くと、レジや品出しをしている人の名札が「李」とか「チャン」とか「ミー」とか、アジア系の外国のものであることがめっちゃ多いなーと思うようになりました。
タクシー運転手はAI搭載の自動運転車に取って替わられ、
接客係は発展途上国の安い労働力に取って替わられ、
「ある特定の業務」しか出来ない人は、あっという間に「より安く」「より高機能」な人やサービスに簡単に「交換」されてしまうのだなーって事実が、文字通り、肌で感じられるほど身近な話になっています。
怖い。怖すぎる。
そして。
フリーランスでSE(システムエンジニア)やってる私も、全く他人事ではないな!と思い至っているわけです。この理由は後述します。
「一生懸命がんばれば、なんとかなる!」
我々の世代(いまアラサーくらい)の人たちって、
「一生懸命がんばれば、なんとかなる!」
って教えられてきたし、なんとなくそれを妄信的に信じていた人が多いんじゃないかと思うんです。がむしゃらに頑張っていたら、いつか必ず報われる!て。
だって、一生懸命がんばっても「なんともならない」としたら、超ヤバイじゃん? 救いなさすぎじゃん? そういう訓練も教育も受けてこなかったほとんどの人は、一生懸命やることしかできない。だから、「一生懸命」を封じられたら、もうどうすれば良いのかわからない。ちなみに、私もそうです。
でも残念なことに、どうやらその怖くて目を背け続けてきた「超ヤバイ、救いなさすぎ」な状況は現実のようです。学校のお勉強を一生懸命頑張って、会社のお仕事も一生懸命頑張ってきた高学歴高キャリア女子こと私、末岐碧衣には、到底受け入れがたいお話なわけですが。
一生懸命やってきたのに「なんともなっていない人」が多すぎる件
私には友達が少ないのですが、その中でも唯一、中学校からの付き合いでまだ連絡を取り合ってたまに飲みに行ったりできるタメの女性がいます。その子は、私と同じく一生懸命学校で勉強して、良い大学に入って、誰もが知っている有名企業に勤めています。
彼女が会社でどんな仕事をしていると思いますか?
COBOL(コボル)という、Javaよりも古い(私の両親の世代にピークがきた)化石のような開発言語を使って、社内システムの運用保守をしています。
いま、IT業界ではすごいスピードで、新しく、開発効率・学習効率のよい言語が生まれています。Javaは5年くらい前にとっくにレガシーになっていると、私は感じています。
生まれたばかりの新しい企業は初めからクラウドを使ってガンガン新しいサービス、システムを作ります。大手企業はそのような、古い時代に作られたシステムを、より安く安全で使い勝手のいいクラウドサービスに置き換えたいと思っています。そして、私がコンサルする大企業の案件のほとんどはそういう、オンプレのシステムをクラウドに乗せ替えるとか、ダウンサイズするとか、AIと連携するために新たなクラウドサービスを立ち上げるといった案件ばかり。
何億円も使って、COBOLで動く巨大なシステムを自社データセンターのサーバに作りたい、という会社はありません。
ということは、「COBOLしかできない」彼女は、COBOLで動くシステムがなくなったら、どうするのか? どんな仕事が残されているのか?
彼女は仕事の話をしたがりません。
飲みに行っても会社の同僚の愚痴とか、なかなか結婚に踏み切ってくれない彼氏の愚痴を、ハイボール片手に散々盛り上がった後は、次に行きたい旅行先の話とか、髪がツヤツヤになるシャンプーの話をして盛り上がります。
もう少し年上の、アラフォー、アラフィフの方は、もっと悲惨です。
私は独立して、最初に作った株式会社、最初に作ったアプリで大コケした後、フリーランスとして伝手で仕事をもらっていました。ちょうどその頃、フリーランスSEの仕事がなくなっても生きていけるか確認したくなって、週末副業という形でヤマト運輸の配送の仕事をしていたことがあります。
最初に職場(配送センター)にいって驚いたのが、重い荷物を運ぶ運送業者の人たちの平均年齢の高さです。
一番多かったのが、40代後半から50代前半の方々です。彼らは毎日朝7時半に事務所を出て、8時から荷物を積み込み、20時まで荷物を配達していました。
荷物には水やゴルフバック、炭(焼肉屋で使われる)などの重いものも多く、それらの重い荷物の割合は年々増えている、とのことでした。Amazonで水やお酒、お米などを買えば自分で運ばずに済むので、私も重いものはネットで買っていました。車もないので、店で大量の水や米を買うことができないし、一つずつ買うのも面倒でしたから。
そんなわけで、配送業者は、報酬は変わらない(40Lの水を運んでも、本を一冊運んでも報酬は120円)のに、仕事はどんどん大変になっていく、という悲劇的な状況でした。重い荷物のせいで腰に爆弾を抱えている配送業者のおじさん(いわゆる、トラックの運ちゃん)を私はたくさん見てきました。
彼らは毎日懸命に働いているのに、生活は最低水準でした。家賃が払えなくて事務所に住み着いている人や、せっかく稼いだお金をパチンコやタバコ、酒、キャバクラにつぎ込んで貯金ゼロ(もしくは借金を抱えている)という人がゴロゴロしていました。
そろそろ、今やっていることとは違う、何か別のことを始める時
もちろん、これはタクシードライバーやコンビニ定員、運送業者、COBOLやJavaしかやってこなかった人たちに限った話ではありません。
5年くらい前に私が最先端だと思って学んだSwiftというiOSアプリを作るための言語は、いまやFlutterというAndroidにもiOSにもWebにも対応できる言語に取って代わられようとしています。一つのコードを書くだけで、全てのOS上で動くんだから、そっちの方が単純計算3倍も開発効率がいいわけだから、当たり前ですね。
もし私がSwiftだけをやり続けていたら、こうしている今、すでに無職になっていて、カフェのバイトで食いつないでいる可能性だってなきにしもあらずだったわけで。(私はフリーランスなので、必要とされなくなった時に守ってくれる会社はありません)
システムエンジニアは、もはや専門職ではない
よく、「フリーでSE(システムエンジニア)やってます」と自己紹介すると、
「女性なのにすごい!」「専門職ですね」「アタマいいんですね」と言われますが、私は本心から「そんなことありません。専門職でもないし、アタマ良くもありません」と言っています。
というのも、私が今やっている仕事の一つで、ベトナムの開発チームを使って新規サービスを立ち上げる、というものがあり、ベトナムの優秀で大勢の開発チームとテレカン(テレビ会議)で毎日のように打ち合わせをしながら、五年前では考えられないようなものすごいスピードでシステムを構築しているからです。
私が主にやっている仕事は、続々と出てくる新たなクラウドサービスを下見して、ちょっと触って、開発チームに展開する、というもの。この仕事で私が提供している価値は、
・クラウドサービスの公式ドキュメントを読めばわかる内容
・ITに詳しくない日本人相手に、日本語でそれらを噛み砕いて説明する
という二つだけです。私のスキルでは、オープンソース化されているクラウドサービスを使うことはできても、それを作ったりカスタマイズすることはできません。
いまは「日本語の壁」に守られてちょっとした鎖国みたいな雰囲気があるから、私のようなエセSEでも仕事をもらえているわけですが、この言葉の壁がなくなった瞬間、私に仕事を頼む理由はほぼなくなると思って間違いないということは、誰にでもわかることかと思います。
つまり、「日本語の壁」がなくなったら、ベトナムやインドなどITに秀でた安い労働力を誰もがいつでも雇えるってことです。もっと言うと、それすら必要なくなって、プログラマーでもなんでもない人たちが、ほんの数日でAIを使ったりシステムを構築したりできる日も、それほど遠くないと考えています。
だって、FlutterもGCPも、すげー簡単だもん。
こういうことは、ITの世界だけでなく、あらゆる業種・業界で起こっていると感じています。
私も、コボラーの友達も、ヤマト運輸でお世話になったおじさんも、学生のころからずっと、一生懸命やってきました。でも、このままではいかんなと。
そろそろ、怖いからって目を瞑って耳も塞いでお布団にくるまっている場合ではないなと。
何やら周りも焦げ臭いし、良い加減ベッドから出て避難梯子を伸ばす時だと思うのです。
ということで、また起業します。
年末で一旦、すべての契約が満了になります。以降は起業家になる予定!
それでは!
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