宇宙・地球・人体の全てが脳内で繋がる 〜元素周期表の世界〜②

カテゴリー 読んでよかったレベル20以上の本たち

前回(↓)の続きです。

宇宙・地球・人体の全てが脳内で繋がる 〜元素周期表の世界〜 ①

 

核融合、核分裂、原子力発電の話

先に述べた恒星の「核融合」で作られる元素は、実は鉄(Fe)まで。鉄より大きい(重い)元素はビッグバンか超新星爆発でしか作られません。

全ての元素の中で、原子核が最も安定しているのは鉄だからです。

1000万度を超える状況で、水素はヘリウムに、ヘリウムはリチウムに、とくっついて大きくなっていくのは、原子核がより安定するからです。

なので、最も安定した鉄まで大きくなると、それより重くはなりません。逆に、鉄より重い元素は逆に鉄を目指して核分裂を起こそうとします。

原子爆弾に使われている、かの悪名高き「ウラン」は原子番号92で元素周期表の一番下の行、アクチノイドの欄に記載されています。原子爆弾は、原子番号26の鉄よりはるかに重いこの元素の核分裂で発生する熱エネルギーを利用しているのです。

原子力発電も同じ原理で、ウランの核分裂によるエネルギーを電気に変換することで発電しています。もうちょっというと、粒子加速器で加速させた中性子をウランにぶつけてることで、核分裂を引き起こし、その際に放出される余剰エネルギーを電気に変換している、という仕組みです。

粒子加速器の仕組みは、フレミングの左手の法則(左手が発電機、右手がモーター)を学び直すとより深い理解が得られます。物理の授業なので、ここでは割愛。

 

全ての元素は、鉄を目指して核融合したり核分裂したりするのです。

 

 

南国の海が透明な理由と、クジラが暖かい海にいない理由

南国の海って透きとおっててすごく綺麗ですよね。

あれは、プランクトンがいないからです。

 

なぜプランクトンがいないかと言うと、水中に溶けている酸素が少ないから。酸素は、高温の液体には溶けにくいという性質があるので、暖かい南国の海ではプランクトンも、プランクトンを食べるクジラも生息できないのです。

 

血液が、コバルトブルーではなく赤い理由

先ほど、酸素は温度の高い南国の海に溶けにくい、と述べました。鋭い読者の方は、もしかしたら、それじゃあ私たちの血液はどうやって酸素を運んでいるのかと疑問に思われるかもしれません。

二酸化炭素は水に溶けやすく炭酸になるので、何もせずとも勝手に血液に溶けて体を巡ってくれますが、酸素の運搬には専用の「運び屋」が必要なのです。

人体は99.5%が水素、酸素、炭素、窒素で構成されています。運び屋にも、人体に豊富に存在する普通の有機化合物を利用できればよかったのですが、これらは原子が小さ過ぎて、酸素とくっつかないか、完全に結合するかのどちらかになってしまいます。細胞に酸素を渡せないのでは、役に立ちません。

運び屋には、肺で酸素とくっつき、さらに全身の細胞に酸素をリリースする働きをしてもらう必要があります。

そこで、登場するのが水素、酸素、炭素、窒素よりも大きな金属、鉄(Fe)の原子です。

鉄のおかげで、温度が低い肺では酸素とくっつき、温度が高い全身では酸素を離そうとする、という絶妙な性質を持たせることができました。ご存知、ヘモグロビンです。ヘモグロビンの構成要素である「ヘム」の構造は以下のように、鉄を中心とした網のような形になっています。

へむ。へむへむ。

 

ちなみに、この金属は必ずしも鉄である必要はなく、外側の電子の軌道が鉄と似た(第4周期の遷移元素。クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、胴など)であれば、ヘモグロビンっぽい機能を持つ物質を作ることは可能だそうです。

しかし、なぜその中からあえて鉄だったのか、というと、理由は「宇宙における存在量が一番多かったから」の一言。

 

鉄の存在量が多い理由は、前回記事で述べた通り、全ての元素の中で鉄の原子核が最も安定しているため。1000万度以上の状況化ではあらゆる元素が鉄を目指して核分裂もしくは核融合しするのです。

 

もし、宇宙に鉄よりコバルトが多かったなら、私たちの血液はコバルトブルーだったかもしれません。映画「アバター」が別の銀河の話なら、ああいうブルーの生物がいても全然不思議じゃないってことですね。素敵。

 

続く!次はいよいよ最終回。まとめます。

 

<参考文献>

[amazonjs asin=”4334037119″ locale=”JP” title=”元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち (光文社新書)”]

学生の方はもちろん、社会人の方も読むべき珠玉の一冊。

難しいことを、めちゃくちゃ噛み砕いて説明してくれています。クソわかりやすい。

何にでも応用できる真理であり、時間とともに陳腐化することもない不変の法則が書かれています。

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