ルフィの船にモブキャラはいない。しかし現実の自分はモブキャラから抜け出せない。

海外にまでその名の轟く超大ヒット漫画ONE PIECE。わたしも大ファンで以前はものすごく入り込んで楽めたのですが、今年で30歳・独身(結婚とか考えられない)・(名ばかりの)自営業・専門技能(実績)無し、という現在は、現実の自分と比較してしまって苦しくて集中できない、というか見ていられない時があります。

なぜなら、「海賊王に、オレはなる!!」でお馴染みのルフィは、モブキャラに「お前、仲間になってくれ!」と絶対に言わないから。

 

現実の自分が「モブキャラ」から抜け出せない地獄

ああ、、、ONE PIECEの連載がジャンプで始まった当初は、”自分も将来はルフィの船のクルーであるナミさながらに、誰にも負けないある種の才能を開花させ、可愛く明るく、守られながらも頼りにされて素敵な仲間に囲まれてバリバリ仕事してるんだろうな!”って思ってたのになぁ、とか、ガンガン暗い気持ちになっていくのです。大気圏に突入した古い人口衛星のごとく自由落下に歯止めが効かず、およそ時速26666㎞の速度で燃え尽きながらなすすべなく落下していくのです。

 

「フィクション(漫画)と現実の自分を比べて、自分を卑下するなんてバカげている」と思った方。そのお説教はセルフトーク(頭の中で勝手に進行する会話)の中で1日10回のペースで繰り返している上、学生時代から親や知人にも言われまくっているので、バカなわたしでも知ってるし頭でもわかっています。でも、わかっているだけなんですよね。マイナス思考は理性でストップできないのです。燃え尽きるまで落下するだけなのです。

 

”麦わらの一味”に入るには専門技能が不可欠である

ルフィは言わずもがな、チビでバカで大食いだけど、めちゃくちゃ明るくて悪魔のみの能力者でめちゃくちゃ修行して強くなり、何より「海賊王になる!」という強固な意志(夢?)があります。最近では「覇王色」なる能力まで、、、欲張りすぎですね。

ゾロは「世界一の大剣豪になる!」という言葉通り、毎日修行&筋トレに明け暮れ、能力者でもないのに能力者に勝つくらいの強さレベルです。サンジも強さレベルでは同じくらいですが、彼にはコックで超メシがうまいという特殊技能があり、しかも「オーシャンブルー(レッドオーシャンだっけ?)を探す!」という夢があります。ナミは「(故郷の村を守るために)一億ベリー貯める!」と手段を選ばず一人歯を食いしばりながら泥棒して色々あった末に麦わらの一味に加わり、超一流の航海士でありながら「世界地図を作る」という偉大な夢を持っています。長くなるので割愛しますが、チョッパーは医者、ブルックは音楽家、ロビンは考古学者、フランキーは船大工。

それぞれ、誰ともかぶっていない専門技能に加え、強さ(能力)、ルフィの「海賊王」に負けず劣らずの夢や野望があります。

 

学生の頃は全然好きになれなかったのですが、唯一感情移入できそうなのはウソップ。彼は麦わらの一味の中でも、大して強くもなく、夢も「大いなる海の男になる!」というふわっとしたもの。でも彼には「狙撃手」という専門技能があります。「ウソつき」もある意味、専門技能と言えますね。

ウォーターセブンで「自分はみんなのように強くないし、明確な夢もない。しかも大事な金も取られて、みんなに合わせる顔がない。役立たずの仲間はいらねぇんだろ!? 俺は船を降りる!」とまで宣言し、このあたりはかなり感情移入できたのですが、結局、「一流の狙撃手」としての役割をきちんと発揮して船に戻ってきたので、現実のわたしは打ちのめされました。結局、全然役立たずじゃねーじゃんと。

 

もし、ウソップに一流の狙撃の腕がなかったら? 「海賊王に、俺はなる!」的に声高に宣言できる夢もなく、弱くて、ただ逃げ腰で鼻が長いだけのウソつき男だったら? 麦わらの一味に入れるでしょうか。

いつもルフィの「ゴムゴムの○○!」で吹っ飛ばされ、覇王色の覇気で気絶するモブキャラは、麦わらの一味に入れるでしょうか。

入れませんよね。

まず漫画として成り立ちません。そんなキャラが今更加入するなんてストーリー上不自然ですし、読者の人気を得られないでしょうし、なによりモブキャラに居場所(仲間に貢献できる役割)がありません。ウォーターセブンでのウソップも、自分に居場所(役割)がないと感じたから「船を降りる!」と言い出したのです。

本当に何もない場合は、ウソップよりも深刻な状況になります。だって、クルーの全員が何かしらの専門技能があり「海賊王」に見劣りしないだけの夢があるわけですから。

自分の居場所=専門性

で、わたしは気づいたのです。「自分の居場所」とは、イコール、ある一群における「専門性」であると。そして、わたしがずっと欲しかったのは、「自分の居場所」なのです。周囲の人間に頼りにされ、自立していて、夢という大義名分がある。そんな状態。

「自分はここにいても良いのだ」と自分が思えて、かつ、他人からも必要とされているという確固たる証拠が欲しかったのです。

「ただ生きていてくれさえすれば良い」という人間関係もあるらしいですが、わたしはまだお目にかかった事がないのでこの辺のウエットな議論については割愛します。

 

 

ということで、今日もわたしは専門性を磨くべく、小説を書きます。よーし、がんばるぞ!がんばるしかないのだ!

末岐 碧衣
  • 末岐 碧衣
  • フリーランス のシステムエンジニア。独立後、一度も営業せずに月収 96 万円を達成。1986年大阪生まれ。早稲田大学理工学部卒。システムエンジニア歴 12年。
    2009年、ITコンサルティング企業に入社。3年目でコミュ障が爆発し人間関係が崩壊。うつにより休職するも、復帰後はコミュ障の自覚を持ち、「チームプレイ」を徹底的に避け、会社組織内においても「一人でできる仕事」に専念。社内外から評価を得た。
    無理に「チームプレイ」するよりも「一人でできる仕事」に専念した方が自分も周囲も幸せにできることを確信し、2015年フリーランスとして独立。