小説は「締切」がないと完結できない

カテゴリー 小説・シナリオ半熟セミナ

講談社の群像新人文学賞の締め切りが迫っていたのでブログをお休みしていたんですが、なんとか書き終えましたよ!400字詰原稿用紙換算で240枚。

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いやぁー、この開放感たるや。筆舌に尽くし難し!小説家目指してる奴がそんなんでいいのかって感じですがw

これでようやく、(なんとか)ラストまで書けた作品は3つになりました。うん、段々とスピードが上がってきています。以前はどうしても最後まで書けなくて、途中で投げ出したものは数知れず(ホントは15本くらい)だったので、嬉しいですねぇ。

 

プロット造ってる時とか書いている途中とか書き終わってからとか、毎回新しい発見はあるんですが、今回の一番の発見は「短い期間に一気に書き切った方が、面白いものが書ける」ということです。

 

小説を完結させるためには、締切りが必要だった

こんなことあまりぶっちゃけたくないんですが、わたしはバカなので、単純に「時間」が経つと忘れちゃうんですよ。物語の雰囲気とか、キャラとか、紙に起こして記録できない、言語化できない感じのものって言うんでしょうか。

最初に、「おお!このアイデア超おもしろい。わたし天才かも」って思って書き始めるんですが、三日も原稿を見ないと、もうすっかり忘れちゃってるんです。その小説の何が面白いのかもわからないし、キャラが何をしゃべるのかもわからない。プロットもありきたりだったり支離滅裂に見える。そこで完全に筆が止まっちゃう。

無理矢理にでも書き続けると、ストーリーが変わって、キャラも崩れて、結末も変わっちゃう。それでもなんとかして終わらせなきゃいけないんですけど、これがなんとも苦しい。。

 

そういう失敗を何度もしたので、自分がそういう人間(バカ)だってことが、だんだんわかってきました。というより、「バカで才能がない」ということを受け止められるようになってきた、が正しいですね。

サラリーマンしながら小説(1作目)を書いてた頃は、「ITがダメなら小説。小説がダメなら私には何の価値もない」という強迫観念があったので、どうしても「自分に文才がない」ってことを受け入れられませんでした。それを受け入れちゃうと、自分が壊れちゃうっていうか。

でも会社をやめて小説一本に絞ったことで、ある種覚悟が決まったと言うか。「きちんと努力を続ければ、絶対にいつかはうまくいく」とも思うし、「ダメでもこの経験は絶対に無駄にはならない」とも思うんです。

だから、「バカで才能がなく」ても平気というか。。「バカで才能がなく」ても、この調子で頑張りつづけてそれなりのモノにならないわけがない、というか。そんな感じです。楽観的ですよねぇw

 

 

話が逸れました、、、

1作目を書いていた頃は、時間をかければかけるほど、何度も直せば直すほど、小説は良いものになると信じていました。でも、今回25日で書き切ってみて確信しました。

 

気付き①小説は、実はそんなに直せない。

やってみて初めてわかったんですが、小説ってラストまで書き終わったら、もう大幅にはいじったり出来ないんです。

細かい伏線とか人物の感情とか、「流れ」があるので、時系列を入れ替えたり、後から思いついた「オモシロ大事件」みたいなのをぶっ込むと、整合性が崩れて、それはもう簡単にメチャクチャになっちゃうんです。

まぁこねくり回していると、それなりの形になることもあるんですが、いま思い返すと時間の無駄だったなぁというか。あの時間とエネルギーがあれば、もう1本書けたんじゃないかと思うくらいです。しかも、こねくり回した結果、すごく良くなったかと言われると全然そうでもないし。。うーん。まぁわたしの場合はそうでしたね。他の人がどうかはわかりませんが。

 

気付き②小説は、締切りがないと完結できない。

物語を完結させるのって、すっごいエネルギーが必要なんですよ。勇気かな? とにかく何日とか何ヵ月とか何年とかのスパンでずーっと書き続けて、その総決算がクライマックスにないといけない。伏線を回収して、その物語の一番の盛り上がりを作って、自分も読者も納得するような「オチ」を付けなきゃいけないんです。

ひと言で言えば、プレッシャーなんですよ。

しかも書いてて、最初から最後までずっと「これ面白いわーサイコーだわー」という状態ってことは、絶対ない。少なくとも、わたしには絶対無理。途中で、だんだんキャラの動きとかストーリーが「もっさり」してきます。

でも、完結ってその先にあるじゃないですか。「もっさり」を乗り越えて、そこで更に「すごいもの」を書かなきゃいけないってなると、もう完全に筆が止まっちゃうんです。私がそうだったのでよくわかるんですが、「どうやって完結させるのが正解か」がわからなくなっちゃうんですね。

 

でもラストが決まらないと、中間も冒頭もビシッと決まらない。どっかで、「どうやって完結させるか」は決めないといけないんです。「正解」は、たぶん一つしかない。でも、それがわからない。しかも時間をかければわかる、というものでもない。

すると、いつまでたっても「たった一つしかない正解」を考え続け、物語をこねくり回し続け、結果的にぐちゃぐちゃになったりして物語を完結させることができないという状態に陥ります。これが、ラストまで書き切る事ができない人の心理です。

 

アマチュアには締切りがありません。今回の文学賞に間に合わなければ、来月のに出せば良い、来月間に合わなければ再来月に出せば良い。でも、これやってるといつまで経っても完結させることって出来ないんですよね。

だからこそ、アマチュアにこそ、「締切り」を設定することが非常に有効なのです。締切りがあることで、「完結せざるをえない状況」に自分を追い込み、無理にでも完結させてしまうんです。それは正解じゃないかもしれない。でも、限られた時間の中で「正解」にどれだけ近づけられるかが勝負なんです

新人賞でデビューしてプロになったら、小説は「仕事」になり、「仕事」には必ず「締切り」があります。だったら、プロとして長くやっていくためには、アマチュアのうちから「締切りまでに書き上げるスキル」を磨いておく必要があるとも思うんです。

 

大体、素人の小説家志望の分際で、「たった一つの正解」をビシッと掴んだ小説がペロッと書けるという思い込み自体、思い上がりなんじゃないかという気がしています。以前、「小説や絵は「質より量」、量を質に昇華させる。」という記事でも書いたんですが、そういうモノって多分、何本も何年も書き続けることで、だんだんと出来るようになってくる種類のものなのかなーと。まぁ天才の人は話が別ですが。

そういうわけで、長期的に考えると「今書いているこの小説をどうやって終わらせるか」でうだうだ悩み続けるより、どんどん新しいものを書いて終わらせる練習を積んだ方が最終的な伸び代が大きいんじゃないかなと、思うわけです。

 

 

 

今回は実験として、思い切って「ちょっと無理か〜?」くらいのタイト目な期限で書き始めましたが、結果は成功ですね。もっとタイトでも良いな、と思いました。短編・中編の小説であれば、月3本くらいが理想です。というのも、今回は前半、かなりサボっていたんです。最後の追い込みでブログを休んで書いた五日間で、8割くらい書いたと言っても過言ではありませんw

来月は短編2本書き切るのを目標にしようと思います!

 

プロとアマの一番の差は、「締切りの有無」かもしれない

今回、わたしは絶対この群像新人文学賞に応募するんだ!と自分で締切りを定めて書き始めました。アマチュアって、自分で締切りを決めないといつまでもズルズルと書き続けられちゃうんですよね。

先ほど、今回ので完結できた作品は3作目だといいましたが、1作目はなんと2年かかりました。3000ページ超えの超大作じゃないですよ。短編です。枚数で言うと今回の半分にも満たないです。2作目は今回より20枚ほど長めですが、3ヵ月かかりました。

今回の3作目は、プロット作成から完結までで25日間。

どれが一番面白いか、というと、間違いなく3作目です。書くことで上手になったという見方もできますが、それよりも実感として一番影響が大きいと思うのは、「締切り」です。

 

 

以前見て衝撃を受けた、「プロフェッショナルの流儀」で漫画家・井上雄彦さんの特集のことを思い出しました。ご存知、SLAM DUNK(スラムダンク)、バガボンドの作者さんです。毎週毎週、休みなく締切りに追われ、喫茶店を8軒とかハシゴしながらネーム(小説で言うところのプロット)を締切りギリギリまで考えるらしいです。そして原稿を描く時には「一度描いた線は消さない」。かっこいいですよね〜たしか「覚悟の線」という言葉を使っていたと思います。

 

映像を見てもらえると一発なんですが、それはもう壮絶な苦しみ方なんですよ。

あー、これがプロか。って思いましたね。

もうね、すっごいカッコイイ。その辺のサラリーマンとは滲み出る気迫が違いますよ。何年もずっと、毎日締切りに追われつづけ、自分が生み出したヒットのプレッシャーとか読者の期待とかを全部背負って、描きつづけてるんです。

それに比べ、自分のユルユルなこと……もう恥ずかしいですね。「時間がないから良いものが作れない」とか言ってる内は、いつまでたってもプロにはなれないなと思いました。

限られた時間で、最高のものにする努力をする。そのギリギリの緊迫感の中で、作家自身も成長していくんだろうなーと。

 

 

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p.s.

わたしはこれを見た時サラリーマンだったんですが、こんな苦しみ方をしたいと思いましたね。どうせ苦しむんなら、「こんな仕事面白くない、私には他にやりたいことがあるのに」と思いながらITの仕事をするより、「もっと面白いものが書けるはずだ」って小説を書いて締切りに追われるような苦しみ方が良いなと。



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