キャラクターの特性をわかりやすく表現する「フード理論」

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ドラゴンボールの悟空や、ワンピースのルフィが「善人」に見える理由をご存知ですか?

実は、そこにはフードを上手く使った表現テクニックが隠されていたのです。著者である福田里香さん(お菓子研究家。漫画好きで有名)は、キャラクター特性を一目で表現する方法論を導きだしました。

フードは人間の機微を伝えるための優秀な装置として機能を発揮し、また、物語において、キャラクターの特性を一目で表すためのアイコン的な役割をも果たしている、というある種の法則のようなものがおぼろげに浮かび上がってきました。それらを総称して「フード理論」と呼んでいます。

フード三原則
1 善人は、フードをうまそうに食べる
2 正体不明者は、フードを食べない
3 悪人は、フードを祖末に扱う

 

なるほど、言われてみれば!って感じですね。「進撃の巨人」で有名な漫画家、諫山創さんもこのフード理論を知って「巨人は人間を食べるが消化できない。お腹いっぱいになったら吐き出す」という設定を追加したそうです。

 

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こっちがお腹空くくらい美味しそうに食事するキャラって、不思議と善人に見えますね。カリオストロの城のルパンと次元がスパゲッティを食べるシーンとか、個人的に好きです。

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他にも、あるある!と手を打ちたくなるようなステレオタイプがまとめられています。面白いですね〜

「ゴロツキは、家族で食事している最中、土足で上がり込んできて食卓をひっくり返す」
「少女マンガの世界では、暖かいココアには傷ついた心を癒す効力があると信じられている」
「マグカップを真顔でかかえたら心に不安があるか打ち明け話がはじまる」
「お菓子と果実はエロスのメタファーとして食べられる」
「レストランのテーブルで男女が向かいあって食事をしたらセックスの暗喩」
「絶世の美女は何も食べない」
「孤独なひとはひとりでごはんを食べる」
「煙草を手放さないひとは心に秘密を抱える傍観者」

 

さらに、宮崎アニメではフード理論を応用した上級テクが使われています。

例えば、腐海に落ちて気絶したナウシカは、目覚めた直後、自分より先にテトにチコの実を食べさせる。ユパ様やアシタカは愛馬から降りると自分が水を飲む前に馬に水をやる。パズーとシータは、自分たちの朝食を食べる前に小鳥に餌をあげる。

このシーンだけで、彼らが「すっごい善人」であることがわかります。スマート。実に無駄のない表現です。

 

もちろん、小説にも応用できる

「フード理論」はあくまで漫画やアニメーションを元に言及したものですが、小説にも応用できます。

 

「レストランのテーブルで男女が向かいあって食事をしたらセックスの暗喩」「お菓子と果実はエロスのメタファーとして食べられる」の例として、村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の主人公の男性が女性とレストランで食事するシーンを紹介します。

オードヴルの皿がさげられ、パスタが運ばれてきた。私の激しい空腹感はまだつづいていた。六皿のオードヴルは私の体の中の虚無の穴にほとんど何の痕跡も残さなかった。私はかなりの量のあるタリアテルを比較的短い時間で胃の中に送りこみ、それからマカロニの魚ソースあえを半分たべた。(中略)我々はすずきを食べ、リゾットをひと粒残らずたいらげた。(中略)私は葡萄のシャーベットを食べ、スフレを食べ、エスプレッソ・コーヒーを飲んだ。

この後、彼らは女性の家に行ってセックスをするのですが、それまでの性的欲求の盛り上がりが暗に表現されています。上手いですね〜

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「善人は、フードを美味そうに食べる」では、乙一さんの短編集「ZOO」に収録されている「カザリとヨーコ」という作品を例として挙げましょう。妹カザリと母親に虐待されている主人公ヨーコが、食べかけのハンバーグにがっつくシーンです。

カザリは美しくて活発で笑う時にはぱっと花がさくように笑った。学校で彼女はクラスメイトや先生からとても愛されていた。時々わたしに食べ残したごはんをくれるのでわたしも彼女が好きだった。(中略)

カザリが食べかけのハンバーグをわたしの前に差し出した。カザリの友達が好奇心の入り交じった目でわたしを見つめた。わたしは豚のようにがつがつと差し出されたものを食べた。

主人公ヨーコは、こんなに酷い目に合わされているのに、カザリのことを憎んでいないんですね。それどころか、好きだと。善人というか、もはや聖人レベルです。

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「フード理論」のようにいくつかステレオタイプを持っていると、キャラクターの特性をよりスマートに、上手に表現できるようになります。他にも、色々な作品に触れて、自分なりの理論を確立できると強いですね!

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