「住民税の安い地域」とか無いから。住民税は「住む場所」ではなく「前年度所得」で決まります。
住民税という名前から、「住む場所によって支払う金額が変わる」と思っている人が多いじゃないでしょうか。たしかに、地域によっては所得割税率(下記参照)が異なりますが、大体どこも10%だと思ってOKです。地域によって0.01%くらいの違いがあるくらいなので。
つまり、住民税は「地方に住めば安い、都心だと高い」とかでは、全然ないんです。
実質的に言うと「住民税の安い地域」というのはありません。計算方法を確認すればわかるのですが、住民税は「住む場所」よりも「前年の所得」によって大きく変動するからです。
住民税の計算方法
住民税は、所得割額と均等割額の合計金額です。均等割額は全国誰でも一律なので、要するに「所得割額」の計算が面倒くさいんですね。
以下、具体的な計算方法を記載します。
住民税=所得割額+均等割額
所得割額=課税所得金額(※1)×所得割税率(10%)ー税額控除額(※3)
均等割額=全国一律5000円
※1 課税所得金額=前年度の所得ー所得控除額(※2)
※2 所得控除額
自営業の方は「雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、人的控除」の合計金額。
サラリーマンの方は以下の表に従って算出します。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
|
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 15,000,000円以下 | 収入金額×5%+1,700,000円 |
15,000,000円超 | 2,450,000円(上限) |
※3 税額控除額等
調整控除額、配当控除額、住宅借入金等特別税額控除額、寄付金税額控除額及び配当割額・株式等譲渡所得割額の控除額のことです。株をやってる人、NPOに寄付した人、住宅ローン組んでる人とかは関係ありますが、特に変わったことをしてないサラリーマンなら0円です。
年収別にサラリーマンの住民税(所得割額)を計算してみた!
あーん、計算するのめんどくさい〜って人のために、年収100万円〜1100万円までのサラリーマンが払っている住民税を算出してみました。ご自身の年収では、年間どれくらいの住民税を払っているのか、これで大体わかるんじゃないでしょうか。
こうして見てみるとサラリーマンの場合、年収に占める住民税の割合は年収に比例して上がっているわけではないことがわかりますね。年収500万の人より、600万の人の方が「住民税に持ってかれる率」が低い!これは前述した「給与所得控除額」の算出表で、区切り(境界値)を跨いでいるかどうかの違いでしょうね。
例えば、360万円〜660万円というレンジに含まれる場合、低い方の境界値(360万円)に近い方が住民税は「割高」になり、高い方の境界値(660万円)に近いほど割安になります。人口が密集している100万円〜500万円の層から税金を回収できるようになっているということですかね。
<年収別 住民税の計算式> ※計算を簡単にするために税額控除額は0円としています。
・前年度の所得が100万円のサラリーマンの場合
所得控除額:100万円×40%=40万円 だけど65万円に満たないので、65万円。
課税総所得金額:100万円ー65万円=35万円
所得割額:35万円×10%ー0円=3.5万円
住民税:所得割額3.5万円+均等割額5千円=4万円/年
・前年度の所得が200万円のサラリーマンの場合
所得控除額:200万円×30%+18万円=78万円
課税総所得金額:200万円ー78万円=122万円
所得割額:122万円×10%ー0円=12.2万円
住民税:所得割額12.2万円+均等割額5千円=12.7万円/年
・前年度の所得が300万円のサラリーマンの場合
所得控除額:300万円×30%+18万円=108万円
課税総所得金額:300万円ー108万円=192万円
所得割額:192万円×10%ー0円=19.2万円
住民税:所得割額19.2万円+均等割額5千円=19.7万円/年
・前年度の所得が400万円のサラリーマンの場合
所得控除額:400万円×20%+54万円=134万円
課税総所得金額:400万円ー134万円=266万円
所得割額:266万円×10%ー0円=26.6万円
住民税:所得割額26.6万円+均等割額5千円=27.1万円/年
・前年度の所得が500万円のサラリーマンの場合
所得控除額:500万円×20%+54万円=154万円
課税総所得金額:500万円ー154万円=346万円
所得割額:346万円×10%ー0円=34.6万円
住民税:所得割額34.6万円+均等割額5千円=35.1万円/年
・前年度の所得が600万円のサラリーマンの場合
所得控除額:600万円×20%+54万円=174万円
課税総所得金額:600万円ー174万円=426万円
所得割額:426万円×10%ー0円=42.6万円
住民税:所得割額42.6万円+均等割額5千円=43.1万円/年
・前年度の所得が700万円のサラリーマンの場合
所得控除額:700万円×10%+120万円=190万円
課税総所得金額:700万円ー190万円=510万円
所得割額:510万円×10%ー0円=51.0万円
住民税:所得割額51.0万円+均等割額5千円=51.5万円/年
・前年度の所得が800万円のサラリーマンの場合
所得控除額:800万円×10%+120万円=200万円
課税総所得金額:800万円ー200万円=600万円
所得割額:600万円×10%ー0円=60.0万円
住民税:所得割額60.0万円+均等割額5千円=60.5万円/年
・前年度の所得が900万円のサラリーマンの場合
所得控除額:900万円×10%+120万円=210万円
課税総所得金額:900万円ー210万円=690万円
所得割額:690万円×10%ー0円=69.0万円
住民税:所得割額69.0万円+均等割額5千円=69.5万円/年
・前年度の所得が1000万円のサラリーマンの場合
所得控除額:1000万円×10%+120万円=220万円
課税総所得金額:1000万円ー220万円=780万円
所得割額:780万円×10%ー0円=78.0万円
住民税:所得割額78.0万円+均等割額5千円=78.5万円/年
・前年度の所得が1100万円のサラリーマンの場合
所得控除額:1100万円×5%+170万円=225万円
課税総所得金額:1100万円ー225万円=875万円
所得割額:875万円×10%ー0円=87.5万円
住民税:所得割額87.5万円+均等割額5千円=88.0万円/年
さいごに
散々書いてきましたが、住民税は「住む場所」でも「今の収入」でもなく、前年度の年収を元に算出されると思っていいです。
独立・起業のために脱サラした人は要注意です。
わたしの場合サラリーマンの頃は年収が600万円だったのが退職後して300万円になりました。にもかかわらず、住民税で毎月3万円近い出費。。マジ禿げそうでした(涙)
参考になったら幸いです〜!
3件のコメント
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初めまして。よしと申します。
各記事、そうだそうだとうなずきながら拝見しております。
さて、本記事で、
前年度の所得が600万円のサラリーマンの場合
所得控除額:600万円×20%+54万円=234万円
課税総所得金額:600万円ー234万円=366万円
所得割額:366万円×10%ー0円=36.6万円
住民税:所得割額36.6万円+均等割額5千円=37.1万円/年
との計算式がありますが、これは
前年度の所得が600万円のサラリーマンの場合
所得控除額:600万円×20%+54万円=174万円
課税総所得金額:600万円ー174万円=426万円
所得割額:426万円×10%ー0円=42.6万円
住民税:所得割額42.6万円+均等割額5千円=43.1万円/年
となるのではないでしょうか?
もし何か、別の要素を見落としておりましたら、すみません。
>よしさん
コメントありがとうございます。そしてすみません。
ご指摘の通り、計算間違ってました。。。ああああああああああああああぁぁぁぁこの手の記事で数字間違えるとは致命的。
記事本文も修正しました!本当にありがとうございます!
良かったです(^ ^)
「年収に占める住民税の割合」の数値と、挿入されたグラフも、連動して少し変わりそうです。
年収が高くなるほど税率が高くなるのは確かですね(>_<)