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[ネタバレ] 恋愛における “気楽な関係” の始まりと終わり。秀逸な脚本が光る「(500)日のサマー」

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今日のキーワード:(500)日のサマー

どうも、乙女心ゆれ子こと白戸です。

最近、iPhoneアプリを作っていてあまり娯楽がなかったので、久しぶりに映画を見てみました。別にバレンタインに暇してたとか恋愛気分だけでも味わいたいとか、そういうんじゃ無いんですよ。とにかく、パッケージだけ見て恋愛映画のつもりで借りたのですが、、、

良い意味で裏切られました。恋愛映画っていうかもうほとんどミステリでしたw

すごくよく出来た脚本。

脚本、というんでしょうか。とにかく、構成が秀逸でした。

この映画を観る前の私の中の「恋愛モノ」パターン

その①〜ハッピーエンドの場合〜

・最悪な出会い

→嫌いなはずのアイツ。でもなぜか気になる

→このドキドキはまさか、、、不整脈?!

→検査の結果、やっぱり不整脈

→結婚

その②〜バッドエンドの場合〜

・運命的な出会い。結婚。ヘドが出るほど甘い新婚生活

→どっからどう見ても理想の恋人。でもなぜか最近、たまに帰りが遅い。

→こっそり尾行したら会社を過ぎて裏路地の電話ボックスへ。ハアハア言いながら服を脱いぎぴっちりしたスーツに着替え始める。

→夫はヒーロー専門コスプレマニアの変態便所虫野郎だった

→離婚

(500)日のサマーの秀逸なところ

でも「(500)日のサマー」では、時系列を巧みに並び替えることで、二人の関係の揺れ動き(ラブラブな時期、冷め始めた時期、冷め切った時期)を見事に表現しています。

最後まで見終わって確信したんですが、この映画の制作には、確実に「職人」が絡んでいます。間違いなく脚本職人のしわざ。じっくり見ると、いたるところに職人のこだわりっぽい技?がちりばめられています。

たとえば、、、あ、この先はネタバレありなので、気になる人は戻るか、先に映画を見てくださいね。

ネタバレあり↓————————————

(出会ってから)282日目のIKEAストアでは彼氏がジョークを言っても彼女は完全無視しているシーン。その直後に、34日目の同じくIKEAストアでは、彼氏が282日目と同じジョークを言っていて、彼女がノリノリで応えるシーンが来ます。

基本的には、こんな感じの対比の連続でストーリーが進行していきます。

時系列めちゃくちゃなのに、観客は全然迷子にならない。ストーリーの流れはよくわかるのです。なんでかなと考えながら見ていて気付いたのが、時系列はバラバラなんですが、「場所」が前後のシーンと連続しているということ。

同じ場所(例えば会社、映画館、公園、CDショップetc…)で、ラブラブな二人のシーンの次に、別の女性とデートする彼氏、いちゃつく二人の次に、久しぶりに偶然再会した二人、ダンスする二人、一人打ちひしがれる彼氏、、、みたいな感じで描かれています。

その上で、メインストーリーは進行していき、二人の関係や途中に怒った出来事が、徐々に明かされていきます。ここら辺の絶妙なストーリー展開が、完璧に職人技。

もはや恋愛映画っていうかミステリでしょ。

「え、なになに、その間なにが起こったの?」と。

私の中で眠っていた “他人のプライベートを嗅ぎ回りたい欲求” に火をつけて、油を注ぎまくるのです。ああーもう止まんない!なんつーか主にロマンティックが止まんない!ウオロロォォォォォォオーーーー!

すみません。先ほど一部文章が乱れたことをお詫びいたします。

「愛とか運命はある」と言っていた彼氏と「愛なんて幻想、運命なんて信じない」と言っていた彼女がですが、最終的には、お互いの考え方が完全に逆転するのも見どころですね。うふふ。

映画のラストシーンも、すごく綺麗(ストーリーがぴったり整合するという意味で)。

多分、潔癖性の人や完璧主義者、それに近い人たちは、大好物だと思います。スッキリ!すべての歯車が噛み合う瞬間です。

「(500)日目のサマー」というタイトル内の”()”の意味も、ここで腹落ちします。

「生活vs夢」のサブストーリーも楽しめる

他にも、夢(建築家)をもちながら生活のために望まない仕事(グリーティングカード制作会社勤め)をする彼氏が、仕事を辞めて夢に向かっていく、というサブストーリーも楽しめます。

客がこういうカード(グリーティングカード)を買う理由は、自分の気持ちを伝えたいからじゃない。気持ちを言えないか、言うのが怖いからだ。

それを救うのが僕ら(カード制作会社)の仕事。だけど、もう知るかってんだ! 正直に話せよ。自分の気持ちくらい自分で言えって。

これも結構名ゼリフ。

しっかり本編のラブストーリーに絡めてるあたり、徹底してますね。ところどころ、こういう良いシーンがちりばめられています。

他の追随を許さない凝った演出

演出も非常に個性的。

  • なんの前触れもなく白黒映画風に、各登場人物の恋愛観に関する一人語りが挟まれる。
  • 画面がいきなり二画面になって、彼氏の「理想(左)」と「現実(右)」の映像が同時に表示される。
  • 絶望した彼氏の背景が突然灰色になり、スケッチ(彼氏の夢の職業、建築家と絡めてる)になる。

一番秀逸だったのが、前半、ハッピーな1カットとして使われたシーンが、実は、後半、その1カットの前後のシーンも含めて流され、実は冷めきって別れる直前の二人の描写シーンだったとわかる、という演出。

えーーあれ、あのシーンそんな、、うそ、えーまじでーってなりました。一人で。バレンタインなのに。

(500)日のサマーでは、この手法が大事なところで2回、使われています。

どっちもかなりパンチ効いてます。

すごく凝ってるというか、練ってるというか。良い拾い物(?)をしました。

「真剣なお付き合いは望んでないの…」彼女の気持ちもわかる

二人が出会って「お友達」になる時、彼女は言います。

「私、真剣な付き合いは望んでないの」

「愛なんて信じてないわ」

「付き合って、誰かのものになるのが嫌なの」

「まだ若くて、この街にはなんでもある。今のうちに楽しまなきゃ」

至極もっとも。結婚してるわけじゃなく、したいわけでもないなら、相手を一人に絞る必要なんてありません。好きな人と好きなだけ「気楽な関係」を楽しめば良いのでは、と。

お互い了承の上で始める恋愛なら、なんの問題もなし。

たしかに!まぁ私には関係ないけど!

「僕らの関係って、なんだろう?」彼氏の気持ちもわかる

ですが、人の気持ちは変わるもの。

付き合い始めて3ヶ月(100日目くらい)を超えたあたりから、彼氏は彼女との「真剣な関係」を望み始めます。

しかし、彼女は最初に宣言した通り、全然その気なし。最初から「お気楽な関係」であり「お友達」。そういう契約でしょと。

このあたりで、ラブラブ期が終わって二人の関係が崩れ始めます。

たしかに、現実の世界でも3ヶ月目って、鬼門というか。別れたい、まではいかなくても、ちょっと冷静になり始めるタイミングですよね。一般的にはそうですよね。私は知りませんけど。

例えば。

二人で立ち寄ったバーで、彼女が見知らぬ男にナンパされるシーン。彼女は全く相手にしない感じで断り、振られた男が捨ぜりふっぽく彼氏をディスります。その直後、彼氏がキレて殴りかかる。でも、男に殴り返されてノックアウト。。。

その後の会話(@彼女の家の玄関)

彼氏「Ah Ha Ha…、ったく訳わかんないよなw とっさに手が出たら殴り返されてさぁ」

彼女「…あなた、信じられない」

彼氏「僕が信じられない?」

彼女「あなた、本当に、めちゃくちゃダサかった」

彼氏「僕に怒ってんのか? 君のために殴られたのに」

彼女「そうなの? 私のためだったわけ? だったら二度としないで。助けはいらない」

(中略)喧嘩っぽくなって、彼女が疲れたから話は明日にしようと提案。

彼氏「いや。帰らない。僕らの関係がなんなのか、その答えを聞くまでは帰らない」

彼女「なにって……、友達でしょ」

彼氏「よせ、それを持ち出すな。僕には通用しない。これは友達に対する態度じゃない。コピー室でキスしたり、IKEAで手をつないだり、シャワーでセックス。これのどこが友達だ」

彼女「(うんざり気味の表情で)あなたが好きよ、トム。でも恋愛はしたくないの」

彼氏「発言権があるのは君だけじゃないぞ。僕にもある。僕らは恋人だっ! チクショー」

うーん。これは、、、彼氏がダサいですね。

彼女のためっていうか、自分がディスられたタイミングで殴りかかってるのでどっちかというと自分のためですよね。しかも普通に喧嘩でも負けてるし。その上、彼女のためとか言ってるあたりかなりダサいですね。

結局、この喧嘩はこんな感じ↓でナアナアに終わる。ありがちですね。

彼氏「わかってる。この関係にラベルを貼る必要がない。ただ僕は不安なんだ。明日も君の心が変わらないという確信がほしい」

彼女「約束はできない。誰にもね」

彼女、全然流されません。あくまで「友達」でいようとします。しっかり者です。

「愛なんて幻想」と言ってた彼女がまさかの…。その理由は?

彼氏「君は、(彼女の薬指の指輪を見る)、結婚したんだね……言って欲しかった」

彼女「ええ、でもあの時はまだ婚約してなかったから」

彼氏「でも彼と付き合ってた。だろ? じゃあなんで僕とダンスした?」

彼女「それは……したかったから」

彼氏「君はいつも、したいことをするだけか。誰の恋人にもなりたくなかった君が、今は人妻」

彼女「私も驚いてる」

彼氏「僕はたぶん一生理解できない。そんなの、支離滅裂だ」

彼女「ただ、そうなった」

彼氏「だからそこがわからない。なにがそうなった?」

彼女「私、ある朝目覚めた時、感じたの」

彼氏「なにを」

彼女「あなたとは無理なんだって」

彼氏「……」

つまり、すべての出会いは大いなる宇宙が決めた「運命」であり「偶然」なのだと。

運命というのは、自分の物差しで「こんなに気があうから」とかで判断したり、日常の延長線上で考えるものではなく、出会った瞬間に「わかる」ものなんだと。

そういう結論なのです。

出会った瞬間に運命の相手と「わかる」的な経験、みなさんはおありでしょうか? 私は皆無なので現実世界で本当にあり得ることなのかは不明ですが、これはこれで、映画なので映画として楽しめました。そういう素敵なことがあるとしたら、世界って素敵だなーと。

総評:見て良かった。センスの良い映画。

(500)日のサマー。

こういうよく練られた映画は、洗濯物たたみながら片手間でみるのではなく、じっくり見るべきですね。噛めば噛むほど味が出るというか。じっくり見ないと、その良さがわからないというか。そんな感じ。

皆さんも、たまには名作映画で非日常に感じ入ってみてはいかがでしょうか。

それでは!

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コメント

  1. 矢戸だいはち より:

    積極的に見たいとは思わない作品ですが、気にはなります。構成面を見れば、「恋愛版パルプフィクション」ですし、内容から見れば「一人の男の恋が終わったバッドエンド」な感じです。テーマは「夢を持つ恋人か、経済力ある男性か」とも取れます。

    サマーが異性関係に奔放なのかと思っていましたが、サマーはトムが自分を見ている以上にトムの事を見ていて知っている気がします。だから、サマーは「あなたとは無理なんだって」と言ったと思います。自分がディスられて、殴りかかったのに、殴り返される彼氏と30年一緒に暮らせなんて、拷問でしょう。

    恋愛は趣味ではありませんが、見たいものリストに入れておきたいと思います。