世の中理不尽なことだらけだし世界はめちゃくちゃなわけなので、生きとし生ける人間全てに “やられた” 経験があると思います。
- 上司からネチネチといやがらせをされた
- 学校でイジメられた
- 街を歩いていて突然へんなヤツに絡まれた
- 客に大声で怒鳴られた
- 夫が酔って暴力をふるってくる etc…
挙げていけばキリがないですね。でも “やられた” 時の反応はざっくり3パターンに分類できます。
A「相手にしてたらキリないし、忘れるのが一番」
B「いーや、絶対やり返す!倍返しだっ」
C「そんなんケース、バイ、ケースだろ」
人として真っ当であり健全であり幸せになれるのは、間違いなくCです。そしてタイトルの「やりかえす or 相手にしない、どっちが正解?」の答えも間違いなくCです。そんなことは自明なのですが、今日はもうちょっと踏み込んで考えてみたいと思います。
「やり返したい」のにグッと堪えてしまって後悔する人(A)、「やり返しちゃダメ」なシーンで我を忘れてしまって後悔する人(B)には参考になると思います。
A. 相手にしない
「くだらないヤツと同じ土俵で戦う必要はない。そういう人間もいるんだなーくらいに受け流すのが一番だ」という意見をよく耳にします。
たしかに、これは一理あります。が、この言葉を乱用しないように注意しましょう。
本当にくだらない、どうしようもない相手なら、わざわざ向き合う必要はありません。この言葉どおり、相手にしないのが間違いなくベストな方法でしょう。
しかし、単に自分が嫌いなだけのまともな人、あるいは今後も付き合っていかねばならない人、という場合は、無視以外の対応を考えるべきです。
ホントに相手にしなくて良いパターン
①顔・名前の見えない相手(ネット、SNSなど)からの誹謗中傷
これは匿名であることのを良いことに、やたらめったら当たり散らしてストレス解消しているだけです。書き込んでいる本人も大して考えてないし、いざ対面したら書き込んだようなことは絶対に言われません。
向こうも本気で言っていないので、こちらも本気で受け取る必要はありません。
②中身のない説教、単なる八つ当たり
自分より弱い相手だったら誰にでも怒鳴り散らす人とかはわかりやすくて良いのですが、注意が必要なのは「あなたのためを思って言っている」という人。
口先だけならまだ可愛いですが、中には本気で「相手のために言っているんだ」と思い込んでネチネチと説教して「(中身のない)憂さ晴らし」にあなたを利用するタチの悪い人もいます。
これを本気で受け止めると、立ち直れないくらい傷ついたり、トラウマになったり、最悪の場合はうつや自殺に追い込まれることもあります。「憂さ晴らし」なのか「ありがたく聞くべきお説教」なのか、あなたがきちんと見極めましょう。
見極めは実に簡単です。
本当にあなたのためを思って言ってくれている説教なら、あなたは絶対に傷付かないし落ち込まないからです。仮に、あなたが大事に思っている人に直した方が良いと思ったことを伝えるならどういう言い方をしますか?
「そういう時は〜した方が良いよ」と言うだけで済むでしょ。相手を必要以上に傷つけたりしないように気を使うはずだし、そう思ったら自然と言葉も「短く」なるんです。
だからまず、「ネチネチしている」と感じた時点で、それはあなたのことなどこれっぽっちも考えていない単なるストレス解消だと判断してOKです。何回も何時間もネチネチネチネチとされるお説教は、100%その人の憂さ晴らしです。
真剣に聞かなくて良いので、適当に受け流しましょう。そして、出来ればやり返しましょう。やられっぱなしにしているから、相手も調子に乗って説教を垂れ続けるんです。
やり返すと言っても、中途半端に反論とかするのはNG。火に油です。こういう場合は、やるなら徹底的にやりきりましょう。「私が悪かった点は反省しています。しかし、こんな風に何時間もみんなの前でネチネチと言う必要がありますか?」とストレートにハッキリと言ってしまうとか、もしくはもっと偉い上司に相談するとか。
根本解決するなら、「相手に自分を好きになってもらう」という上級テクニックもあります。
③理由のない一過性の暴力
普通に生きてればあまりないと思いますが、街でヤンキーに絡まれるとか、そんなんですね。本気で喧嘩したりするのは危険だし、これこそスルーしてさっさと尻尾を巻いて逃げてしまいましょう。
逃げちゃ駄目なパターン
ある程度の期間、付き合っていかなければいけない相手
学校とか職場とか家族とかですね。頻繁に顔を合わせざるを得ない人に ”やられた” 場合は、「相手にしない」と受け流すよりもきちんと対応した方がいいです。一過性のものなら無視でも良いかもしれませんが、何度も繰り返し”やられて”いる場合(イジメ、パワハラetc)は、逃げずに立ち向かう姿勢を見せなければなりません。
相手がなぜそんなことをする(言う)のかを考え、可能なら冷静に話合い、あまりに理不尽なら”やり返す”べきです。
「相手にしない」のと人間サンドバックになるのは違う
何をされても、どれほど理不尽な目にあっても、反論すべき時でも、「相手にしない」「ガマンする」「面倒くさい」と言って逃げる人がいます。私は昔、完全にコレだったのでよくわかるんですが、自分がガマンするのが、角も立たないしエネルギーも消費しないし一番楽なんですよね。
本人は「迷惑がかからないし角も立たないんだから良いじゃん」と思っているんですが、実は何でもかんでも我慢するのって、最も不誠実な態度です。相手にとっても、自分自身にとっても。
相手を傷つけないように、周りに迷惑がかからないように、波風を立てないように。それが真実であることもありますが、毎回毎回ガマンしている人っていうのは、結局、やり返されるのが怖かったり、自分に自信がないことの言い訳に周囲を利用してるだけです。
ガマンし、逃げ続ける一番のデメリットは、自分の価値が下がってしまうことです。
何をされてもやり返さない人間サンドバック状態の人って、信頼されないし舐められるんですよね。何を考えてるのかわからない人、自分の主張がない人、というレッテルを貼られてしまいます。
さらに、ガマンするということは自分よりも相手を優先していることに他ならないので、自然と、自分で自分を尊重することが出来なくなっていきます。するとドンドン”やり返す”勇気もエネルギーも失われ、ガマンすることしか出来なくなると言う悪循環に陥ります。
こういう人はまず、「賢くやる」ことを忘れましょう。周囲を傷つけないように、波風を立てないように上手に立ち回ろうとするから、必要以上に自分を押さえつけてしまうんです。
誰かを傷つけても良いんです。あなただって傷つけられてきたんだし、あなただけが我慢することはありません。それに、純然たる悪意ではなく自己防衛のための言葉なら、必ずそれは相手に伝わります。
勇気を出して、小さなことからで良いので反論してみましょう。言い返されるかもしれない、火に油を注ぐかもしれない。でも、やられっぱなしよりは百倍良いです。大切なのは、相手がどう思うとか今後気まずくなるとかそういうことではなく、あなたがあなた自身を尊重できるかどうかという点です。
自分を尊重できるようになれば、上っ面ではなく、本当の意味で相手を気遣うことも出来るようになります。
今まで人間サンドバックだった人は、まずは、持ち帰ったりせず、なにか”やられた”と感じたら、とにかく何でもいいので「その場で言い返す」ことから始めましょう。必ず、あなたの中で何かが変わります。
B. やり返す
目には目を、歯には歯を! やられたらやり返す、倍返しだっ! というタイプの人。男らしくてカッコイイと思うんですが、これ、冷静かどうかという点は重要だと思います。
「こうこうこういうことを”やられた”から、こちらは〜でやり返そう」みたいに、冷静な対応なら言うことなし。つまり、”やられた”状況(相手、環境(場所やタイミング)、内容、程度)をきちんと把握した上で、感情的にならずにする反撃ならパーフェクトなんです。
でも、なかなかそう上手く出来る人もいないですよね。
感情的にやり返しちゃうパターン
①その場で感情に任せて
怒りに任せてムキになって反論する、我を忘れて怒鳴り散らす、所はばからず泣き出す。感情的にやり返すのは、端から見ていると幼稚に見えてしまいますし、やり返す行為自体が何の解決にもなっていないことが多いです。
こういう人は、とにかく「その場は抑える」ことに集中してみましょう。私の元同僚にこういうタイプだった人がいたのですが、彼の場合は、言い返そうと吸い込んだ息を一回止めて、ふーっと吐き出すようにしていると言っていました。そして、勢いで色々やっちゃった「後」のこと、メリット、デメリットを考えるんだそうです。
すると、頭に登った血が降りてきて、冷静になれるんだとか。とにかく大切なのは深呼吸だと言っていましたね。
②恨みを募らせて後で復讐する
その場では堪えるけど”やられた”ことが頭から離れず、自分の中でそのシーンを何度も反芻しまくっている内に怒りがドンドン大きくなって、気が付いたらその人のことを大嫌いになっている、十倍返しの復讐を企ててしまう、というパターン。
気持ちはわからなくもないですが、怒りを膨らませている時間は何も手に付かないでしょうし、精神的にもストレス過多で不健康です。誰も幸せになりません。
こういう人には、”やられた” ことを頭の中で反芻するのをやめて、「事実」のみを「客観的」に「書き出す」ことをお勧めします。やってみるとわかると思いますが、書き出すという行為だけで、案外スッキリしてしまうものですし、書き出した文字を眺めていると、そんなに大したことじゃないな、と思えてもきます。
逆に、書き出してなお「許し難し!」と思ったなら、それに見合っただけの「やり返す方法」を検討しましょう。やり過ぎは禁物です。目には目を、歯には歯を。あくまで等価交換が原則です。