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初めてラストまで書けた時のはなし

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小説は、締切りがないと完結できないでもチラッと書いたのですが、わたしが1作目(短編)を書くのに要した時間は、2年です。

大学生の頃からチョロチョロ書いてはいたんですが、全部途中で投げ出していました。最初は「超面白いこと思いついた!」って始めるんですが、その段階では誰がどこで何をして最終的にどうなる、みたいな細部が全然詰めらてないんですよ。で結局、書いているうちにキャラがわかんなくなって、事件も起こらなくて、「つまんない」「あ、もっと面白いこと思いついたから別の話を書こう」って投げ出す。その繰り返しでした。

結局、誰にも読まれることのない「未完」の屍の山を築いただけ。でも、就職して3年目にもう一度書き始めて、そっから2年かかってやっと1本、「完結」したものが出来ました。

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「スペシャリスト」への憧れと挫折

1作目を書き始めた頃はサラリーマンやってました。

会社の仕事(コンサルとは名ばかりのシステムエンジニア職)に全く面白みを感じていなくて、「ITが嫌いだ」と思いながら毎日毎日、やっつけで仕事してました。すみません。

プロジェクトが200人規模と大きかったのもあって、すごい細かく分業されてまして。一つの機能についても、画面はこの人、BL(ビジネスロジック)はこの人、DBはこの人、みたいな。しかもJava覚えたての新人なんて正直全然使えないですから、まわされる仕事はほぼ打鍵テストなんですよ。「モンキーテスト」と呼ばれているんですが、ようは猿みたいに画面を叩きまくってエラーを見つけるという仕事です。酷い名前ですよねぇw

「Cドライブってなんですか?」みたいな1ヵ月契約の派遣のオバちゃんたちのための臨時的に作られた「シマ(机)」で、同じ作業をするんです。先輩たちが作った画面を打鍵して、エラーが出たら「エラーがでました、直して下さい」と報告するだけ。しかも、オバちゃんたちと違って正社員の私は定時で帰れない。「裁量労働制」だったので残業代も出ない。

スキルなんか全く身に付かないし、毎日毎日日付が変わるまで画面を打鍵してタクシー(自腹)で帰るっていう、、、。あ、念のため言っておきますが、私だけがそんな扱いだったわけじゃないですよ。新人は大体そういう感じでした。

でもね、そんな中でも、先輩の書いたコードを読んで自分で勉強して、家では趣味でプログラミングしたり独自サーバを作ったりしてる同期もいて、その人たちは驚くべきスピードで技術を身につけてました。私にはそれが出来なかったんです。会社でソース見てるだけでもうんざりなのに、家に帰ってまでプログラミングなんてありえない。とてもじゃないけど無理。みたいな。

1年もたった頃にはすっごい差がついてました。私がローカルPCに開発環境を作る(EclipseとかOracleとかTomcatとか入れてソースを落としてくる)ところでハマってたら、「ここはこうするんだよ」とアドバイスしてもらったり。いつの間にか先輩たちと、私の理解出来ない「技術語」でしゃべってるんですよ。ショックでしたね〜

まぁ長々と書いちゃいましたが、要は焦ってたんです。私も「何者か」になりたいと。

その会社にはいろんな職種がありましたが、ゴール(最終形態)は大きく分類すると「技術スペシャリスト」と「コンサルタント」の2種類。

こんなイメージ↓

「技術スペシャリスト」ってのはわかりやすく、Oracleプラチナ持ってますとか、ネットワークのプロですとか、Javaのスーパーハイパープログラマーです、とかそんな感じ。

「コンサルタント」は、技術はある程度わかってて、プレゼントか顧客折衝がうまい人たち。マネジメントとかスケジュール管理とかリーダーシップとか、まぁ総合力が高い感じです。「技術以外のスペシャリスト」と言っても良いかも。

私のように技術方面で挫折した人たちは「コンサルタント」を目指す(しかない)んですが、やっぱそこにも高い壁があって。外資系コンサルから転職してきた人とかもたくさんいて、そんなのには全然、全く、笑っちゃうくらい敵わないわけです。

圧倒的な知識量、インプットスピードの速さ、口のうまさ、ミーティングでのリーダーシップ、人望もあって、英語もペラペラ、見た目も美形、東大卒でいわゆる「地頭」が良い。

社内でスター選手的なプログラマがいて、その人を見てると「私もスーパーエンジニアになりたい」って思うんですよ。共通クラスの設計したり、パフォーマンスチューニングしたり、テストが楽になる自動ツール作って表彰されたりしてましたから。

で、Oracleマスターの参考書とかJavaデザインパターンの本とか(3000円近くする分厚いやつ)を買ってみる。でも深夜に帰宅してからとか休日とか、全然読む気にならない。Oracleブロンズの資格だって受験料だけ払って結局受けにいきませんでした。落ちるのわかってましたから。ITニュースとかも全然頭に入ってこない。なぜなら興味がないし理解もできないから(涙)

すっごいプレゼン(それはもう、感動的なんです)のうまいコンサルタントのチームに配属されたら、またそっちに憧れるんです。スケジュールはOutLookで共有されてて社員だったら誰でも、誰のスケジュールでも見る事ができたんですが、その人のスケジュールは数ヵ月先まで出張とかミーティングの予定でギッシリなんですよ。いつもスーツをビシーッと着てて、全然自席にいない。歩きながら電話して、会議室や客先をハシゴしてるわけです。かっこいいなぁと。

でも当時の私の仕事はモンキーテストオンリーだし、プレゼンっていうかクライアントの顔すら知らない。スーツだってリクルートのしか持ってない。(それすらも最初の3年は着る機会がなかったですw)まぁそれでも他の人より「圧倒的なスピードで打鍵する」と頑張って3年目くらいには結構仕事を任せてもらえるようになったんですが、色々あってダメでした。長くなるのでここでは割愛します。

要するに、「ITの世界」の中でいろんな「スペシャリスト」に憧れたけど、結局どれもダメだったんです。

Pensive businessman

そんな中、家に帰って寝るまでの短い時間に読む小説の世界に、するすると惹かれて行きましたて。まぁ、現実逃避ですね、端的に言うと。

で、「ITは嫌いだけど、小説は好きだ。だったら、小説の仕事をした方がわたしには合ってるんじゃないだろうか」と小説を書き始めたんです。Javaのデザインパターンの本は無理だったけど、小説の執筆なら週末とか深夜帰ってからでも手がつけられたんですよ。

でも小説も、週末、机に向かうたびにどんどんめちゃくちゃになっていくんですよ。今考えればプロットもキャラも全然詰められてなくてアイデアだけで見切り発車してたので当たり前なんですが。まぁその頃は、ITもダメ、小説もダメだと。やりたいこともできることもわからない、私はこのまま「その他大勢」として生きていくしかないのかと。

文字通り目の前が真っ暗になりました。

1作目を如何にして完結させたか?

無理矢理です。無理矢理、完結させました。それ以外に表現のしようがありませんし、無理矢理以外の終わらせ方もありませんでした。

1作目はもうめちゃくちゃでしたー。(ブラック)IT企業で働きながら書いていたというのもありますが、人生の方向性もブレブレ、書いてる小説もブレブレ、期限もブレブレ、キャラは崩壊しまくりでした。

ダラダラと週末に気が向いた時だけ書いていたので、ストーリーとかキャラも忘れてるし、プロット(と称したメモ)もつぎたしつぎたしで膨大な枚数になって。小説本体よりメモの枚数の方が多かったですからね、、、(あ、ちなみにこの時書いてたのは超大作SFではなく短編小説です)とにかく完全に収集がつかなくなってました。

「もういいや、プロットは気にしないで筆の進むままに書けば良いさ」とか「こっちの方が面白くなるんじゃないか」とかいって途中でごちゃごちゃと設定を変えたりしてました。そしたら、物語の中盤で犬がいきなりしゃべり始めたりしてw なんじゃこりゃ、わけわからん、クソ過ぎるって書きながら思ってましたね。

それでも、たまにはポジティブな週末もあって、「最初からうまく書けるわけない。1作目は、とにかく完結させることを目標にしよう」と思い始めました。多分書き始めてからの2年間で1億回くらい途中で投げ出そうとしましたが、なんとか耐えました。

そしたらいつまで経ってもそのしょーもない意味不明な小説に縛られ続けることに疲れまして。「こんなもん誰も読まない。だとしたらこれほどの時間とエネルギーを不毛に費やしているだけなのではないか」と思ったんです。

で、途中から完全に目標を修正して「新人賞で一刻もはやくデビューすること(そして会社を辞めること)」ではなく「この作品をなんとしても完結させること」に切り替えました。

「もうさっさと終わらせて、次に取りかかりたい」と。

結果、2年を費やしてめちゃくちゃなものを完結させることができました。貴志祐介先生の「新世界より」に憧れて書き始めたものだったのですが、結局ファンタジーでもミステリでもなかったですね。というか、小説の形を成してませんでした。最初と最後で主人公変わってましたからw

そんな代物でしたが、とにかく書き終わったぞと。100%ダメもとで新人賞に応募して、ホントにダメでした。一次選考落ちです。

でも、無理矢理にでも完結させて、本当に良かったと思います。私の中ではやっと「一歩進んだ」感はあったので。あぁ、物語を終わらせるのって、すごい難しいんだなーとか、最初に決めた通りには行かないなぁとか、まぁ反省点はいろいろ見えてきたんですが。

1作目を書き終えた時の一番の発見は、「超苦しかったけど、次を書いてみたいと思っている自分がいる」ということでした。

「コンサルタント職」でまぁまぁ出世した時も、同じように苦しんで、同じように「一歩進んだ」感が得られたこともありました。でも「次」へのモチベーションは湧かなかったんですよね。あの時は。

だから、やっぱ私は小説が好きなんだろうなぁと。

p.s.

ありふれた言葉ですが、やっぱ「好きなことをやる」のが一番だと思います。人生の充足感が全然ちがうんですよ。怖いけど、不幸ではないというか。

この記事が「小説家になりたいけど、、、」と苦しんでる人の助けになれば、嬉しいです。

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