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小説の命は「描写力」。やりすぎるとイタい、やらなすぎるとつまらない。

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シナリオは映像にするための設計図ですが、小説は文章による「描写」だけで読者に映像をイメージさせて物語の世界に導かなければなりません。

小説の命は「描写力」と言っても過言ではないのです。

適切な描写とは?

描写は、あまりにくどいと「自己陶酔型」な、言ってしまえばイタイタしい文体になってしまい、読者が入りこめなくなります。逆にただ事実や出来事を羅列すると「没個性型」の表現となり、つまらない、退屈な小説になることがあります。

大切なのは加減です。

やりすぎか、やらなさすぎか。言うまでもなく、「どこまでやったらやりすぎ」とか明確な基準は存在しません。それは著者(もしくは読者)が主観的に決めることだからです。

更に言えば、このさじ加減こそが小説を書く醍醐味とも言えます。読者の意見に必要以上に振り回される必要はないし、自分に酔ってはいけないなんてルールもない。むしろ、著者がちょっと自分に酔って良い気になって書いてるくらいの方が、わたしは面白みがあって好きです。あ、もちろんこれは個人的な意見なのですが。

それでもさじ加減に自信がない。読者の意見が気になる!という人には、音読をおススメします。やっていただければすぐにわかると思いますが、自分の書いた文章を声に出してみると、「このセリフくどいな……」とか「なんか読みにくい」とか「ここの言い回しはイケてないな」とか色々と気付くことができます。

描写には三種類ある

描写は大きく、「情景描写」「人物描写」「心理描写」の3つに分類する事が出来ます。一つずつ見ていきましょう。

①情景描写

場所、時間、人物が置かれている状況などの描写です。

プレートに下がったぬいぐるみは、ドライフラワーを一輪抱えているけれども、どれもうっすらと埃がついていて、ひどくうらびれた感じがする。

小野不由美「屍鬼」より抜粋

ここで意識すべきポイントは、誰の視点で書くかによって「見えるもの」が異なるということです。登場人物の視点で描写する場合、その人物の状況や心情によって、同じものを見ても見え方が変わります。

例えば、病院内部を描写するにしても、視点が「ベテラン看護婦」なのか「入院患者」なのかで全く異なる表現になるはずです。前者の場合は医療器具の名前などは詳しく調査して書く必要がありますが、後者の場合、素人なのに「インゲーションチューブ」とか「剥離子」等の単語が出てくるのは不自然です。

②人物描写

登場人物の表情、行動、態度、しぐさ、特徴などの描写です。客観的な体型や髪の色、顔の美醜などの外見的要因だけでなく、「肩をすくめた」「じっと見つめた」などの動きだけでなく、下記の引用のように主観的に表現することもできます。

このお手本の場合、主人公はパイロットなのですが、単に「視力が良い」という特徴だけでなく、「パイロット」という職業に対する自信も読み取ることができます。無駄がなく、スマートな表現ですね。

僕は腕力にはまるで自信がないのだけれど、視力では負けたことがない。 

森博嗣「スカイ・クロラ」より抜粋

③心理描写

登場人物の心情、考えている、感じていることの描写で、主観的なものです。「視点」となっている人物の置かれている状況だけでなく、バックグラウンドまでイメージして書くと、描写に深みが出ます。

からだじゅうの血の色が黒く変わるほどに嫉妬をおぼえた。幼い頃から持ちつづけてきた、この負い目が、嫉妬をはげしくした。

司馬遼太郎「侍はこわい」より抜粋

「描写」に関する重要なポイント

それは、全編を通してトーンを変えないことです。

例えば、ホラー小説でずっとオドロオドロしい陰湿なトーンで書いてきたのに、突然セリフがコメディっぽくなったりしては、台無しなんです。あえて異質なものを組み合わせるという高等テクニックもナシではないと思いますが、新人賞すら取れない素人がやっても、単にちぐはぐな印象を与えるだけになってしまう可能性が高いです。

例えば、駅のホームの情景描写では「無表情な駅員」「埃の溜まったエアコン」「乾いた吐瀉物」「剥がれかけた視覚障害者用点字ブロック」のようにちょっと暗めのトーンを使っていたのに、ラストの方で登場人物のセリフが「こんなのありか。っていうか、なんでこんな所を女の子が歩いてるんだよ! っていうか、突風で飛ばされた傘に走って追いつくのが前提かよ! だめだ、つっこみきれない!」 みたいなコメディ調のツッコミだと雰囲気ぶち壊しです。

これは極端かつテキトーな例ですが、要するに家具と同じで、部屋全体のトーンは統一した方が見栄えが良いということです。ロココ調のアンティークベッドの横にアメリカのロックスターのポスターが貼ってあったら台無しなのと同じです。

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